「ダブル不倫」慰謝料請求で気をつけるべきこと
パートナーが不倫をしていたら、その不倫相手に対しても慰謝料を請求したいと考える人は少なくないでしょう。
でも、もしその不倫相手も既婚者だったとしたら・・・。こちらも慰謝料を支払わなければならないのでしょうか。
夫の「ダブル不倫」が発覚した場合、妻はどう対処すればいいのでしょうか。
最初のポイントは、不倫相手の配偶者に不倫の事実がバレているかどうか
ダブル不倫の最大の特徴は、通常の不倫と異なり、不倫をされた被害者が2人存在するため、慰謝料請求権を行使できる人物も2人いるという点です。
普通の不倫よりも話がややこしくなるので、相談者(A子)、相談者の夫(B男)、夫の不倫相手(C子)、不倫相手の夫(D男)と、4者の関係を整理して説明します。
今回は相手の夫(D男)にもばれてしまったと仮定しましょう。
ダブル不倫では、実際には被害者が2人とも慰謝料請求を行うとも限りません。
相手方の被害者(配偶者)が慰謝料請求をしてくる可能性があるかどうかの見極めが重要となります。
なぜなら「既に不倫の事実を知っているかどうか」、知らない場合は、「知られないまま相手方妻から慰謝料を取ることができるか」がポイントになるためです。
今回のケースでは、相手の夫(D男)にも不倫の事実はバレているようですから、この先の対応が重要になってきます。
●事実上の「相打ち」になることも
法的には、夫婦をまとめて1つの権利主体と考えるのではなく、あくまで個人単位で考えます。
ダブル不倫の場合でも当然、妻は相手方女性に対し、慰謝料請求をすることは可能です。
また、不倫した自分の夫は、妻からみれば「共同不法行為者」であるので、自分の夫に対しても同じく慰謝料を請求することが可能です。
今回のケースで言えば、A子さんは、夫の不倫相手(C子さん)だけでなく、夫本人(B男さん)にも慰謝料を請求することができることになります。
A子さんは夫婦の関係を修復したいと考えているようですから、B男さんに対してではなく、C子さんだけを相手に、慰謝料を請求することになるでしょう。
ただ、浮気相手の夫であるD男さんも、B男さんに対して慰謝料を請求することができます。
この場合、2つの慰謝料請求権が行使されている状態です。形式的にみれば、C子さんがA子さんに慰謝料を支払い、B男さんがD男さんに慰謝料を支払うことになります。
一方で、夫婦が協力して今回のトラブルを乗り切ろうと考えるような場合には、事実上の「相打ち」として、金銭のやりとりなく終わることもあります(いわゆる「ゼロ和解」)。夫婦の単位でみれば、出て行くお金と入ってくるお金はプラスマイナスゼロと考えるわけです。
他方、A子さんが、「離婚はしないけど、夫(妻)が慰謝料を請求されるのは自業自得」と考えて、協力しない場合は、B男さんには自身の慰謝料の支払いも含め、別個に対処させる形となります。
A子さんは夫のB男さんの事件に気兼ねすることなく、C子さんから慰謝料をより多く取れるよう、請求を行っていくことになります。
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