さよならお義母さん、もう出て行っていただけますか?

配偶者が亡くなったとき、義理の両親との関係はどうなるのでしょうか?

こんな例で考えてみましょう。


例)

夫が亡くなりました。

現在、未成年の子供2人と、義母(60代)と一緒に住んでいますが、何をするにも口を出してくる義母に、常に監視されているような状態で気が休まりません。義母には、家を出て行ってほしいと思っています。

別居後の経済的な支援はするつもりです。毎月の家賃か、中古でマンション等を買うならその費用を出す、と伝えています。しかし、義母は別居を拒否しており、話し合いにも応じません。

今、私たちが住んでいる家は夫が独身時代に建てたもので、義母は建った当時から住んでいます。

土地・家の名義は夫なので、法律上は、私が相続することになると思います。家のローンは保険で支払われ、残金はありません。

私としては、子供達と、落ち着いた生活を始めたいのですが、義母と別居することは、法律上難しいのでしょうか?

また、近くに夫の弟が住んでいるのですが、彼にも義母の扶養義務があると思います。もし別居する場合、義母に渡す生活費を、私と同額か、半額でも負担してもらうことはできますか?


さて、夫亡き後、義母に出て行ってもらうことはできるのでしょうか?


まず、お義母さんに家を出て行ってもらうことは難しいと思います。

夫の遺言がなく、お子さん2名との遺産分割協議を終えていないのであれば、夫の死亡に伴い、家は相談者とお子さん2名による遺産の共有となっていると思います。

かたやお義母さんは相続人ではありませんので、家については家の所有権や共有持分はないでしょう。


しかし、法律上は「相続人」ではないからといって、ご主人と結婚する前からその家に住んでいるお義母さんを追い出すのは、お義母さんにとってかなり酷な話です。

家族間のことですので法的に突き詰めて考えにくいこともありますが、もしも裁判となったら、居住の継続を認める何らかの合意の存在が認められたり、退去を求めることが、権利の濫用と評価される可能性があります。

お義母さんが相談者に対して、同居に堪えない行動を尋常ではないレベルで行っているような場合は別かもしれませんが、ご相談の内容では、追い出すことは難しいと思います。


ところで、夫が亡くなった後、「嫁」と「姑」はどのような関係になるのか、ご説明しましょう。


民法は、3親等内の姻族(結婚したことによってできた親戚)も親族と定めています。

夫が死亡しただけでは姻族関係は終了しませんので、「嫁」と「姑」は引き続き民法上の親族関係にあります。

相談者は、「別居後の経済的な支援はするつもり」と言っていますが、「扶養義務」は直系血族及び兄弟姉妹が負担するのが原則です。

相談者の場合、一次的にはお義弟さんが「扶養義務」を負うでしょう。


ただし、家を出てもらう条件として生活費を払うことを約束したのであれば、そのような契約が成立したものとして、相談者が支払義務を負うと考えられます。

また、たとえばお義弟さんが生活に困窮していて、他方で相談者が非常に裕福であるなどの事情があれば、嫁姑間といった3親等内の姻族においても「扶養義務」が発生すると考えられます。

なお、姻族関係については、※配偶者が亡くなった後に届出を行えば、終了させることができます。

この届出を行えば民法上の親族ではなくなるので、「扶養義務」を免れることができます。


気が合わない者同士が同居すれば、大なり小なりのトラブルは避けられません。水道光熱費などの負担割合の問題や、家の使い方をめぐって対立することもあるでしょう。

相談者が同居しているお義母さんに精一杯尽くしても、必ずしも相続人となるわけではありません。

お義母さんが遺言で相談者に財産を遺す旨の記載をしていないと、相続の場面で報われない結果になり、相続人とトラブルになることも考えられます。


※「姻族関係終了届」

結婚をすることにより、配偶者の父母、兄弟姉妹、伯父・伯母(叔父・叔母)、甥・姪などとは、親族関係が発生します。

このような親族関係は、離婚すると当然、終了しますが、配偶者の一方が亡くなった場合は、生きている方の配偶者が、姻族関係を終了させる意思を表示することで終了します。

そこで必要なのが、「姻族関係終了届」です。

「姻族関係終了届」を出すことによって、配偶者の父母らと、届を出した人との姻族関係はなくなります。

生きている配偶者が市町村役場に届け出ればいいだけなので、義父母が拒否しても手続きできますし、義父母に黙って届け出ても構いません。

家庭裁判所への申立も不要です。

姻族関係を終了させれば、扶養義務を負うこともなくなります。

なお、姻族関係の終了と相続とは関係ありません。

届出をした人の子どもは、亡くなった配偶者の親(子どもにとっては祖父母)と血縁関係にありますから、姻族関係を終了させても、子どもには、祖父母の遺産を相続する権利があります。

届を出すことのメリットは、義父母の扶養義務を負うことがなくなることですね。

デメリットはその逆で、自らが扶養してもらえる人の範囲が狭まることですが、あまり深く考える必要はないでしょう。

ちなみに、配偶者が亡くなって再婚をする場合、「姻族関係終了届」を出していないと、亡き配偶者の親と、再婚相手の親との二重の姻族関係が発生することになります。


総合探偵社シークレットリサーチ堺 調査員のつぶやき

総合探偵社シークレットリサーチ堺は、浮気調査をはじめ、行動・素行調査・所在調査などの調査全般を専門とする探偵事務所です。 少数精鋭の弊社の調査員が日々の様々な出来事を綴ります。

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