再婚禁止期間とは?現在の状況と今後の動向について
再婚禁止期間、ご存知でしょうか。
「女性は離婚後すぐに再婚できないってやつでしょ?」
そう、その問題です。
再婚禁止期間に関してですが、基本的に離婚後すぐに次の結婚をすることはできません。
離婚後、結婚をすることを禁止する期間です。
今回は、この再婚禁止期間について、今後の動向も含めて説明します。
1.再婚禁止期間とは?
再婚禁止期間とは、文字通り、再度結婚する場合に一定の期間、結婚を禁止することです。
法律では、女性についてだけ、「離婚や死別、婚姻取消し」から原則6ヶ月を経過しなければ再婚はできないと決められていました。
(1)なぜ再婚禁止期間が定められている?
一言で言うと、子供が生まれた際に「前の夫と後の夫のどちらの子なの?」という事態になることを事前に回避することを言います。
つまり、女性が離婚してからすぐに結婚できることにすると、結婚してから1年以内に生まれた子供が前の夫の子供か現在の夫の子供か分からないという状況になります(ただ、あくまで民法が制定された100年以上前の時代の話で、現代ではDNA鑑定などによって判断は可能)。
それを回避するために設けられたのが再婚禁止期間です。
なお、生まれてきた子供の母親は、分娩の事実によって明らかであるので、母親が誰であるかという点は問題になりません。
2.再婚禁止期間に関する判例は?
「1.再婚禁止期間とは?」で説明したように、民法では女性は離婚後6ヶ月を経過しなければ原則再婚することができないとされていました。
しかし、この規定が違憲(憲法違反)であると、過去に最高裁が判断しました。
具体的には、「女性は離婚後6カ月間再婚できない」とする民法733条1項について、100日間を超える部分を違憲だと判断しました。
この事件は、岡山県内に住む30代女性が、平成23年に「再婚禁止期間があるため再婚が遅れ精神的苦痛を受けた」として国に約165万円の国家賠償を求めて提訴したものです。
結局、1審、2審、そして本判決いずれにおいても国家賠償は認められなかったものの、最高裁は、上記の通り、6ヶ月の再婚禁止期間中100日を超える部分については違憲です。
3.再婚禁止期間が短くなった?
女性の再婚禁止期間の100日超部分を憲法違反とした最高裁判決を受け、法務省は民法改正案をまとめました。
現行民法では女性の再婚禁止期間は「6ヶ月」とされているが、これを100日に改めることになりました。
改正点は
(1)女性の再婚禁止期間について離婚の日から6カ月であったものを100日へ短縮した点と、
(2)女性が離婚の時に懐胎(妊娠)していなかった場合、離婚後すぐに出産した場合には再婚禁止期間の規定を適用しないこととした点です。
4.再婚禁止期間を守らないとどうなる?
では、仮に再婚禁止期間を守らなった場合はどうなるのでしょうか。
再婚禁止期間を守らないと、前述の通り法律上生まれてきた子供が、「現在の夫の子なのか、それとも前の夫の子なのか」分からない、という状況が発生してしまいます。
5.再婚禁止期間に例外はある?
繰り返しになるが、再婚禁止期間は、父性が重複することで父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐために定められています。
裏を返せば、子供の父親が前の夫と現在の夫のいずれであるかがはっきり確定するのであれば、再婚禁止期間を気にすることなく再婚することができます。
具体的には、以下のような場合が再婚禁止期間の例外です。
○離婚する前から妊娠していた子を出産した場合
○前婚の夫と再婚する場合
○夫の生死が3年以上不明であることを理由に離婚判決を受けた場合
○夫の失踪宣告により婚姻が解消した場合
○離婚後女性が優生保護法に基づく優生手術を受けた旨の医師の証明書を提出した場合
○女性が受胎能力のない年齢(67歳以上とされている)に達している場合
6.妊娠していない場合には即再婚が可能ってほんと?
「3.再婚禁止期間が短くなる?」でご説明致しました。
法務省の民法改正案の内容は、再婚禁止期間を6ヶ月から100日に短縮することだけでなく、再婚禁止期間の例外規定も大幅に見直し、
医師の証明によって離婚時に妊娠していないことが判明すれば直ちに再婚することを認めることにしています。
そのため、今回の法改正によって、離婚時に妊娠をしていない女性に関しては離婚後すぐに再婚することが可能です。
なお、「これから3年間、再婚禁止制度を検討する」と付議がされており、今後、再婚禁止制度自体が無くなる可能性も含んでいます。
現在においてはDNA鑑定によって父子の関係を証明することが可能になったといっても過言ではなく、再婚禁止期間という法律自体が時代遅れであるといった意見、また、再婚禁止期間については女性に対して不公平であるといった意見も多く、今後、法改正がされる可能性は十分にあると言えるでしょう。
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