DNA鑑定で実子でなかった場合の対処法 - 親子関係の解消や養育費・慰謝料について
不倫相手の子どもを妊娠し、夫の子どもとして育ててしまった、というケースもあるでしょう。少し前も芸能界で話題になりましたよね。
DNA鑑定の結果、夫の子ではないことが判明した際には、親子関係はどうなるのか、養育費はどうなるのか、慰謝料や損害賠償は請求されるのか、といったことに不安を感じるかもしれません。ここではDNA鑑定を受けての親子関係の変更と、それに伴う養育費や慰謝料について説明します。親子関係に関する法律は複雑なため、しっかりと理解しておきましょう。
DNA鑑定と親子関係の変更
DNA鑑定の結果、夫の子ではないと判明した際には、親子関係を解消し、実の父親に変更することができるのでしょうか。それが可能かどうかは、子どもが生まれたことを知ってからどのくらいの時間が経っているかがポイントとなります。
子どもが生まれたことを知って1年以内であれば、夫が「嫡出否認調停」を申し立て、それが認められることで、親子関係を解消することができます。1年を過ぎてしまった場合でも、夫の子どもではないことが明らかな場合には「親子関係不存在確認調停」を申し立て、それが認められることで親子関係の解消が可能です。
しかし、「親子関係不存在確認調停」を申し立てるに当たっては、妊娠した時期に長期間の別居状態や海外出張など、夫の子どもではないことが明らかな状況を証明する必要があります。もしその証明ができなければ、たとえDNA鑑定の結果が生物学上の親子関係でないことを示しても、法律上の親子関係は覆らないのです。
なお、夫と子どもの親子関係が解消されると、子どもには法律上の父親がいない状態となります。その場合には、実の父親が認知をすることで、法律上も本来の親子関係を実現することができます。もし実の父親が認知を拒否するようなら、調停を申し立て強制的に認知させることも可能です。
DNA鑑定の結果と養育費
DNA鑑定の結果、実子でないと判明した場合には、夫は養育費を払いたくないと思うかもしれません。DNA鑑定の結果を受けて、親子関係を解消している場合には、当然ながら養育費の支払い義務も消滅するため、夫に養育費を請求することはできません。養育費が必要な場合には、実の父親に認知させ、養育費の支払いを求める必要があります。
上述の通り、たとえ実子でないと判明しても、法律上の親子関係を解消できないケースもあります。その場合には、道義的な問題はさておき、引き続き養育費の支払いを求めることが可能です。
DNA鑑定と慰謝料・損害賠償
DNA鑑定で夫の実子でないことが判明することは、すなわち妻の不倫が発覚したことにほかなりません。不倫は不法行為であり、慰謝料請求の対象となります。すでに時効と思われるかもしれませんが、慰謝料の時効は「損害及び加害者を知ったとき」から3年です。そのため、夫から不倫慰謝料を請求される可能性があります。
DNA鑑定の結果を基に、親子関係を解消できた場合には、それまでに支払ってきた養育費はどうなるのでしょうか。本来であれば払わなくて良いお金を払ってしまっていたので、過去の養育費も損害賠償として請求される可能性があるでしょう。
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