夫の風俗通いが原因の離婚請求と慰謝料の相場
夫の風俗通いが発覚したら、嫌悪感を覚える人も多いでしょう。中には発覚後も悪びれず風俗に通い続ける夫もおり、それを理由に離婚したいと考える妻も少なくありません。結論から言えば、風俗での性行為も離婚原因となり得ます。離婚できる場合や注意点、慰謝料の相場を知り、離婚すべきかどうかしっかりと考えましょう。
風俗は離婚原因になるのか
夫が風俗に通うことに嫌悪感や怒り、悲しみを感じる女性も多いでしょう。風俗店の中には認可を受け営業しているところもあり、風俗通いは法律でも許されているのではないかと感じてしまうかもしれません。しかし、配偶者のいる者が風俗に通うことは不法行為になる場合もあり、それを理由に離婚と慰謝料を請求することができるのです。
離婚原因として認められるケースは、風俗で性交渉を行った場合です。夫婦には貞操義務があるため、不貞行為(本人の自由意思で配偶者以外の異性と性交渉を行うこと)は法律で認められた離婚原因となります。風俗での性交渉であろうと不貞行為には変わらないのです。
離婚原因にならない可能性も
風俗が離婚原因として認められるからと言って、ただちに離婚や慰謝料の請求ができるとは限らないため注意が必要です。風俗と一口に言っても、必ずしも性交渉まで行うとは限らず、ソープランドなど性交渉を目的とする店舗に行った証拠などが必要になります。また、不貞行為が一度きりで、夫にも十分反省の色が見られる場合には、夫婦関係の修復が可能と判断され、離婚が認められないケースもあります。
不貞行為があった時点ですでに夫婦関係が破綻していた場合には、慰謝料の請求はできません。また、夫が風俗に通う原因の一つに、セックスレスが挙げられます。セックスレスは夫婦関係の破綻に該当し得るので、不貞行為について争った際に、夫側が主張してくるケースも多いでしょう。夫からの性生活の要求を拒否する際は、「風俗にでも行ってきて」などと答えてはいけません。
風俗が原因の離婚慰謝料の相場
風俗通いを理由に離婚し、慰謝料を請求する場合、どのくらいの金額を請求できるのかも気になるポイントでしょう。風俗は不貞行為となるため、不倫慰謝料の相場と近いものとなるでしょう。不倫を理由に離婚した場合の慰謝料相場は、100〜300万円となります。
ただし、同じ回数の不貞行為があったとしても、風俗は不倫に比べて金額が下がる傾向にあります。慰謝料とは単に不貞行為自体にだけ発生するものではなく、「浮気された・裏切られた」ことに対しても発生します。不倫は「心の浮気」と「身体の浮気」を伴いますが、風俗の場合「身体の浮気」だけと言えるケースが多いでしょう。精神的苦痛の度合いが不倫の方が強いと考えられるため、慰謝料もその分小さくなるのです。
また、不倫と違う点としては、不貞行為の相手に対して慰謝料の請求ができないことです。不貞行為とは「本人の自由意思」で行うもので、風俗の場合は純粋に本人の意思でその人物と関係を持ったとは言えません。そのため風俗嬢には慰謝料請求は認められないのです。私生活の場でも関係を持っている場合には、不倫に当たるため、風俗嬢にも慰謝料を請求することが可能です。
風俗を理由にした離婚・慰謝料の請求方法
風俗通いを理由に慰謝料を請求する場合、夫にのみ請求することになるため、離婚しなければあまり意味がありません。離婚するとなると、話合い・調停(・審判)・裁判、というステップを踏むことになります。どのステップでも重要になるのは証拠です。まずは証拠を集めましょう。
○風俗での不貞行為の証拠
前述の通り、風俗と言えども必ず性交渉まで行っているとは限りません。そのため、ソープランドのように性交渉が前提の店舗に行ったことがわかる証拠が必要です。例えば以下のようなものが有効な証拠となります。
○ソープランドのメンバーズカード
○ソープランドでの支払明細
○風俗で性交渉を行ったことを認めた書面や音声
風俗店への通話履歴やwebサイトの閲覧履歴だけでは、単に情報収集していただけと反論できてしまい、不貞行為の証拠とはなりません。ただし、上記の証拠を補強する材料とはなるため、集めた証拠はすべて保存しておくようにしましょう。
話合いで離婚する
十分な証拠が集まったら夫に離婚を切り出します。話合いでは相手が不貞行為を認め、夫婦双方が条件面でも納得できれば離婚が成立します。しかし、風俗を不貞行為と認識していない男性も多く、トラブルとなるケースも少なくないでしょう。離婚に合意できない、慰謝料額に納得できない、といった場合には、調停を申し立てて合意を図ることになります。
調停を申し立てる
話合いで合意できない場合、次のステップは離婚調停となります。調停では調停委員に対して、夫婦それぞれが自身の言い分を主張し、調停委員が裁判官とともに妥当と思われる調整案を提示します。夫が風俗を不貞行為と認識していようがいまいが、調停ではその有責性が考慮されるため、調整案では離婚と慰謝料が盛り込まれる可能性は高いでしょう。しかし、調整案に夫が納得できない場合は、調停は不調に終わり離婚も成立しません。
訴訟を起こす
調停でも決着がつかない場合には、離婚訴訟を起こし裁判で争うこととなります。裁判では不貞行為を立証しなければならないため、証拠が何より重要です。素人では訴状の作成すら困難なため、ほとんどのケースで弁護士を立てて争うことになります。
裁判は時間も精神的負担も大きいため、話合いや調停の段階から弁護士に依頼し、早期に解決を図ることも考えておくべきでしょう。当然ながら弁護士費用も安く抑えることができます。どのタイミングで依頼すべきかも含め、まずは弁護士に相談してみると良いでしょう。
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