夫婦共用のパソコンで妻のメールを「のぞき見」 これって?

離婚調停中の妻のメールを不正に盗み見た——。大分市の男性がそんな容疑で逮捕された事件がありました。朝日新聞によると男は、当時別居中だった妻が利用するインターネット上のメールサービスに不正アクセスし、メールを計196回のぞき見たとして、不正アクセス禁止法違反の疑いがもたれてました。

この夫婦は当時、離婚調停中だったといいます。しかし、特に夫婦間に問題はなくても、相手の浮気を心配した夫や妻などが、パートナーのメールを「ついつい見てしまう」ことはあるかもしれません。夫婦でパソコンを共用している場合などは、IDやパスワードを入れなくても簡単に相方のメールが見られる状態になっているケースもあるでしょう。

では、たとえば、メールのIDやパスワードが保存されているような状態のパソコンを使って、パートナーのメールを読んだ場合でも、不正アクセス禁止法違反になってしまうのでしょうか。それは、夫や妻の携帯電話を盗み見た場合と、何か違いがあるのでしょうか。


●アクセス制限をかいくぐってサービスにアクセスするのが「不法アクセス行為」

そもそも、不正アクセスとは、どういう行為をさすのだろうか。


不正アクセス禁止法における『不正アクセス行為』とは、『アクセス制御機能による特定電子計算機の利用制限を免れて、その制限されている特定利用をできる状態にさせる行為』です。こうやって説明すると難しいですが、要するに、ID・パスワードなどの制限によって、特定の人しか使えないようになっている状態を、特定の人以外が利用できる状態にさせることです。

注意したいのは、不正アクセス禁止法がいうところの「特定電子計算機」というのは、ネットワークに接続されたコンピュータのことを指すということです。つまり、インターネット社会において、ネットワークを介して遠隔からコンピュータにアクセスするような場面を想定しているのが、不正アクセス禁止法というわけです。

したがって、Gメールのようなインターネット上のメールサービスにアクセスする場合も、不正アクセス禁止方法の対象となってきます。

逮捕された事案のようにIDとパスワードを入力してログインし、メールを閲覧することは、他人の識別符号を入力することでアクセス制限機能による利用制限を免れて、当該サービスを利用できる状態にする行為、すなわち、同法2条4項1号の『なりすまし』行為にあたります。

もし、IDとパスワードが保存されていた状態であったとしても、それを利用してログインをし、メールを盗み見た場合には本条に該当し得ると言えます。


●「ネット上」のメールサービスと「パソコン内」のメールで結論がかわる

では、ネット上のメールサービスではなく、パソコン内のメールボックスに保存されたメールを見た場合はどうなのでしょうか。


不正アクセス禁止法が対象としているのは、電気通信回線(ネットワーク)に接続されたコンピュータに対して、その電気通信回線を通じてアクセスする行為です。したがって、単にパソコンにかかっているロックを解除し、既存のメールを盗み見る行為は、不正アクセス禁止法の対象外であり、現在取り締まる法律がないのが現状です。


携帯電話の場合は、どうでしょうか。


パソコンの場合と同様に、ロックのかかった携帯電話のパスワードを入力して中のメールを盗み見た場合も、不正アクセス禁止法の対象外です。しかし携帯電話でも、IDとパスワードを用いてクラウド上のデータにアクセスした場合には、同法の適用があると考えられます。

つまり、不正アクセス禁止法という観点からは、ネット上のメールか否かで、結論が変わってくるということです。

夫婦であれば、相手のメールをこっそり見ることは法律上問題ないと思っている方も多いようです。しかし、携帯電話であってもパソコンであっても、IDとパスワードを入力してサーバーにアクセスする場合には、不正アクセス禁止法に該当しうるため、注意が必要です



総合探偵社シークレットリサーチ堺 調査員のつぶやき

総合探偵社シークレットリサーチ堺は、浮気調査をはじめ、行動・素行調査・所在調査などの調査全般を専門とする探偵事務所です。 少数精鋭の弊社の調査員が日々の様々な出来事を綴ります。

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