不倫慰謝料の相場と金額の決まり方

不倫慰謝料の相場を めぐってはネットでもいろいろ解説がなされていますが、だいたいは50万円から300万円あたりだとおおざっぱに書かれています。

これにおおむね間違いは ありません。


しかし、実際には50万円未満もたくさんありますし、300万円をこえる裁判例も存在します。教科書や公表されているデータではわからないこ ともたくさんあります。


ただ、慰謝料の金額が決まるポイントというのは、ある程度ルール化できます。

(以下は、配偶者の不倫相手の慰謝料を前提としています。)


1.慰謝料ゼロになるもの

まず、慰謝料がゼロになる可能性のあるものについてあげてみます。

①婚姻関係破綻後の交際

②慰謝料請求のやりかたが違法な場合

③職場での上下関係を利用したセクハラや強姦まがいのもの

④時効

⑤配偶者から離婚時に慰謝料として多額の金銭をもらっている場合

①については判例で法的責任はないとされています、最近はネットで調べてみなさん割と知っていますね。

ですので、これを主張する人がけっこう多くいます。

しかし、微妙なケースがほとんどで立証することは容易ではありません。

あまりイージーに考えないほうがいいでしょう。

②あまりに横暴な請求は、権利の乱用として、慰謝料請求が否定されることがあります。

脅迫や暴力を伴うと刑事事件になりかねません。

③これは言うまでもないでしょう。しかし、旦那が奥さんに女のほうからアプローチしてきたなどと嘘をつき、奥さんが旦那を信じ込んでいるような場合は、奥さんが引かず裁判で争うしかないケースもあります。

④時効は、基本的に加害者と不倫の事実を知ったときから3年です。

不倫を知られてから3年以上たっているからもう堂々と交際してもだ いじょうぶかなどと質問されることがありますが、今も不倫が継続しているなら、あらたな不法行為を日々積み重ねているわけですから、3年よりあとの交際期 間については時効ではありません。(例2000年大晦日に交際がばれたので2003年大晦日に時効になると思っても、不倫が継続中なら、2004年以降の 部分は時効ではありません。)

⑤判例では、離婚した配偶者からすでに500万円の慰謝料をもらっていることを理由に、元夫の不倫相手に対する慰謝料請求が認められなかったものがあります。


2.慰謝料300万円以上になるケース

最初に慰謝料が否定されるケースを見てきましたが、今度は高額な慰謝料になってしまうケースについてみていきましょう。

個人的な感覚では8割がたは200万円以下であると思いますが、交際期間が相当長期であったり、その他の深刻な事情があったりするケースでは300 万円以上という事例も散見されます。いろいろ分析してみると、300万円以上というケースはだいたい次のような要素があるように思います。

①夫婦関係が破綻し別居に至っているか離婚にいたっている。

②配偶者と不倫相手が同棲を始めている

③不倫が婚姻関係破綻の直接的な原因となっている

④不倫相手のほうが主導的、積極的

⑤交際期間が長期にわたる(少なくとも2〜3年以上?)

⑥支払う側が、地位、収入が高い場合(失うものが大きく支払い能力が高い人は、示談で高い慰謝料を払う傾向があります。)

300万円以上は、夫婦関係が修復されたケースではまず該当しないでしょう。

よく見られるのが、妻(夫)を残して別居し、夫(妻)が不倫相手と同棲 状態になっているケースです。

こういう場合は離婚に至ってなくても婚姻関係を破綻させた重い責任があると判断されます。(①②)

③は、言い換えれば、ほかに別居や離婚の原因になるものがないということです。たとえば、夫が不倫をする前に妻も不倫をしていたとか、あるいは、妻 が不倫をしたのは夫の暴力で家庭がすでに崩壊していたなどの事情がある場合は、不倫が夫婦関係破綻の直接の原因とは言えません。

また、非常に少ないですが、500万円という相当高額な判例もあります。これらの判例では、次のような特殊な事情が見られます。

⑦妻が不倫相手と駆け落ちし夫が幼少の子3人とともに残された。

⑧被告が原告の妻と不倫同棲したうえ、原告の勤務先に原告を中傷 する手紙を送りつけた。

⑦⑧は残された側の損害が大きいと判断されたのでしょう。

⑧などは、おそらく裁判官の心証は最悪だったでしょう。

しかしながら、相手が憎いばかりに 冷静さを失って、⑧のようなことをついやってしまうこともあるでしょうから、友人からの忠告やアドバイスはとても貴重です。事前に中止させれば、友人の相 手方にとっても有益なことです。


3.数十万円(10万円〜80万円)

今度は、少額の慰謝料になるケースを見ていきます。

このケースは基本的に「離婚しておらず別居にも至っていない」というケースで、なおかつ「交際期間がかなり短い」か「加害者の落ち度が小さい」ケー スです。

たとえば、相手が上司であったり、かなり積極的であったりで、しぶしぶつきあったような場合です。

また、社内不倫で一方だけが会社を辞めたような 場合は、そうした事情も裁判では考慮されます。

(例えば、上司は会社に残り、女性のみ退職を余儀なくされるケース)このほか男性が最初に独身であるかのよ うにふるまって、途中から既婚であることを女性に白状した場合は、男性の責任割合が大きいと判断されます。(不倫は共同不法行為ですから、不倫当事者双方 に法的責任があります。)

相手側夫婦にすでに婚姻関係破綻の原因(暴力、もう一方の不貞行為)があるような場合も、少額の慰謝料になります。

ただし、それをどうやって証明す るかという問題は残りますし、示談でそれを主張することで相手を激高させるリスクもありますから、なかなかむずかしいところです。

穏便にすませたいばかり に、高い慰謝料で妥協する人もいます。

それから、これは番外編ですが、男性が男性に慰謝料請求する場合、

100万円、150万円、200万円といったきりのいい数字になることが一般的ですが、女性が女性に慰謝料請求する場合、80万円とか140万円、といっ た数字になることが少なくありません。

これは男性はメンツにこだわり、女性は男性より手堅く物事を決める傾向があるからではないかと思います。

慰謝料が少額になる場合のポイント

離婚しておらず、別居にも至っていない

交際期間が短い(1ヶ月から半年程度)

加害者の落ち度が小さい(多くは配偶者の言動に問題がある)

夫婦の間にすでに問題があった場合(暴力、もう一方の浮気など)


4.慰謝料100~200万円(だいたいは、この範囲におさまる)

最初のほうで極端なケースを見てきましたが、それらを先に検討し、消去する方式で考えていけば、100万円から200万円の範囲が予想しやすくなります。

それでは100万円から200万円というケースはどんな内容なのでしょうか。

まず慰謝料100万円ですむのは、やはり離婚や別居に至っていないケースで比較的短期間です。(一概には言えないが1年未満が目安か?)これに対し て200万円は、基本的には離婚や別居になるくらいに夫婦関係が破綻したといえるケースでしょう。

ただ、示談では、離婚も別居もない場合でも、社内不倫で 秘密を他人にあまり知られたくないという場合に、加害者が示談を急ぎ、結果として金額が高めになることがあります。

一流企業の社内不倫ですと200万円を スピード解決で払う人がけっこういます。

もっとも、こういう場合は、示談書において、秘密保持義務条項を入れるのが通例です。

100万円は離婚や別居に至っていないケースに多く、交際期間も比較的短期(一概には言えないが1年未満?)

200万円は基本的には離婚や別居に至るようなケース。ただし、示談の場合、離婚や別居がなくても、社内不倫で一流企業であったり相手が会社の重役であったりする場合、秘密保持義務を示談書の条件にして200万円を払うことも少なくない。

そのほか、おおむね次のような要素が慰謝料の算定材料になります。

100万円と200万円の間(150万円前後)は、上記にこれらを加味して考えれ ば、ある程度予測できるようになります。

ただし、予測といってもあくまでも天気予報のようなもので、実際に裁判になった場合は、裁判官によって開きがでる ことは、予め知っておいて下さい。


その他のチェックするべきポイント

☆どちらが積極的であったか、とくに職場不倫であれば、職場での 立場の優劣

☆夫婦関係を破綻させたか、別居や離婚にいたらしめたか

☆配偶者と不倫相手が同棲しているか

☆交際の期間

☆不倫以前の夫婦関係の状況(破綻の原因が、不倫とは別にあった か)

☆加害者の支払い能力(示談の場合は特に影響を受けます)



いかがでしたでしょうか?あなたの友達のなかで不倫問題に悩んでいる人がいても、いままで当たり障りのないことしか言えなかったかもしれません。

で も、これを読んだら、どんどんアドバイスしてあげてください。

いざ、ことがおきてから本人が法律家に相談するより、100倍も威力を発揮することがありま す。

総合探偵社シークレットリサーチ堺 調査員のつぶやき

総合探偵社シークレットリサーチ堺は、浮気調査をはじめ、行動・素行調査・所在調査などの調査全般を専門とする探偵事務所です。 少数精鋭の弊社の調査員が日々の様々な出来事を綴ります。

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